個人間の貸し借りでトラブルを防ぐ『借用書』の作成について

 

友人、知人、恋人、親戚などにお金を貸すのは、信用している相手だからこそですよね。

 

しかし、

「約束の日がきても返してくれない」

「今月中に返してくれると言っていたのに、来月までだったと言っている」

「利息をもらえるものだと思っていたら、どうやら相手はそうではなかった感じ」

「借りた覚えがないと言ってきた」

「返済期日が近づいたら連絡がとれなくなった」

 

このようなトラブルになるケースが多いのは、とても悲しいことです。

 

口頭でのお金の貸し借りでも、法律上の契約が成立するのですが、書面が残されていないと貸したことを証明するのが難しくなります。

 

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金銭トラブルになったときの精神的ダメージはとても大きく、「絶対に裏切られないから大丈夫」と思っていたなら、なおさらですね。

どんなに信頼のおける相手でも、念のため、借用書を作っておいたほうが安心です。

 

ここでは、金銭トラブルを防ぐための借用書の書き方について学んでいきたいと思います。

 

 

借用書とは、お金の貸し借りを証明するもの

 

借用書とは、お金の貸し借りがあったことを証明する証書のことです。

 

法的な強制力はありませんが、作成しておくことでトラブルになるのを防ぐことが期待できます。

また、万が一、金銭トラブルになったときに裁判での証拠として、とても有効です。

 

一般に借用書と呼ばれるものには、借用書金銭消費貸借契約書があります。

 

 

借主が作成し貸主が保管するのが「借用書」

 

「借用書」は、お金を借りた方(借主)が主体となって作成する証書です。

借主のみが署名したものを1通作成し、貸した方(貸主)が保管します。

 

1通でいいので手軽に作成することができ、貸主に手間がかかりらないというメリットがありますが、借主が作成するために貸主に不利な内容になってしまう可能性があります

 

 

借主貸主が二通作成し、お互いが保管する「金銭消費貸借契約書」

 

「金銭消費貸借契約書」は、貸主と借主の両者が結ぶ契約書です。

貸主と借主の両者が署名したものを2通作成し、お互いが1通ずつ保管します。

 

お互いが納得した内容にでき、片方が紛失してしまってももう片方が残るメリットがありますが、借用書よりも作成の手間がかかります

 

借用書でも金銭消費貸借契約書でも、内容や効果はあまり違いがありません。

金額が大きい場合や分割返済にする場合などは、金銭消費貸借契約書を作成するほうがいいでしょう。

 

 

借用書・金銭消費貸借契約書に記載する項目

 

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借用書や金銭消費貸借契約書に決められた書式はありません。

それぞれに合った内容を盛り込んだ書面を作成することができます。

 

 

1.表題
「借用書」「金銭消費貸借契約書」など。

 

2.貸主、借主
貸主および借主の住所、氏名、押印。
氏名は、本人が直筆しましょう。直筆の場合は押印不要ですが、押印してある方が一般的です。

 

3.連帯保証人
連帯保証人がいる場合は、連帯保証人の住所、氏名、押印が必要です。
金額が大きいときは連帯保証人を付けてもらう方がいいでしょう。
この場合、契約書も3通作成し、貸主、借主、連帯保証人の3者が保管します。

 

4.貸付日
お金の受け渡しをした日付。
銀行振り込みなどにして受け渡しが行われた証拠が残るようにしましょう。

 

5.貸付金額
受け渡しをした金額。改ざんを防ぐために漢数字を使用します。

 

算用数字 漢数字
10
100
1000
10000

 

金額の前には「」後には「」を書き、字間を空けないようにしましょう。

例)100万円:金壱百万円
  230万円:金弐百参拾万円

 

6.返済の方法、期日

分割なのか一括なのか、振込みなのか手渡しなのかなど、返済方法や返済期日について決めておきましょう。

分割返済の場合は、返済回数、各回の期日・金額などについても定める必要があります。
また、返済にかかる手数料をどちらが負担するのかも決めておきましょう。

 

7.利息

利息を設定する場合は、利率や支払方法を決めておきましょう。

なお、法律で定められた利息上限は次の通りです。

元金 利息の上限
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以下 年15%

 

8.遅延損害金

約束の期日までに返済されない場合の損害賠償金を、遅延損害金といいます。

利息と同様に法律で上限が定められています。

元金 遅延損害金の上限
10万円未満 年29.2%
10万円以上100万円未満 年26.28%
100万円以下 年21.9%

 

遅延損害金を記載していなくても、利息と同じ利率で請求することができます。
利息を定めていないか、利息が年5%以下のときは、年5%の遅延損害金を請求できます。

 

9.期限の利益の喪失

“約束した返済期日までは返済しなくてもいい”というのが期限の利益です。
期限の利益がなくなってしまうと、すぐに一括返済しなければならなくなります。

万が一のときに備えて、期限の利益が喪失する条件を決めておきましょう。

 

10.作成日
借用書、金銭消費貸借契約書を作成した年月日を書きましょう。

 

11.収入印紙

記載された貸付金額が1万円以上の場合は、収入印紙を貼り、割り印(書面と印紙をまたがるように押印すること)をする必要があります。作成した契約書の数分(2通なら2通分、3通なら3通分)収入印紙代がかかります。

1万円以上10万円以下 200円
10万円超50万円以下 400円
50万円超100万円以下 1000円
100万円超500万円以下 2000円
500万円超1千万円以下 1万円
1千万円超5千万円以下 2万円
5千万円超1億円以下 6万円
1億円超5億円以下 10万円
5億円超10億円以下 20万円
10億円超50億円以下 40万円
50億円超 60万円

 

 

金銭消費貸借契約書のサンプル

 

金銭消費貸借契約書

 

貸主(甲)    住所 東京都渋谷区〇〇1丁目2番地3号
         氏名 佐藤 花子 佐藤

借主(乙)    住所 神奈川県横浜市△△区△△4丁目500番地
         氏名 鈴木 太郎 鈴木

連帯保証人(丙) 住所 千葉県千葉市□□区□□678番地
         氏名 伊藤 一郎 伊藤

 

甲、乙、丙は、次の通り、金銭消費貸借契約をした。

 

(第1条)
平成28年5月1日、甲は乙に対し、金壱百万円を貸付け、乙は確かにこれを受け取った。

(第2条)
乙は、甲に対し、前条の借入金を、平成28年5月から平成29年12月まで、毎月27日限り金五万円ずつ分割して支払う。支払い方法は、甲の指定する銀行口座への振り込みとし、振込手数料は乙が負担する。

(第3条)
利息は、元金に対し年8パーセントの割合とし、毎月27日限り、甲の指定する銀行口座へ振り込む方法で支払う。振込手数料は乙が負担する。

(第4条)
乙が本契約に基づく債務の履行を遅滞したときは、期日の翌日から完済まで、乙は甲に対し、年10パーセントの割合で遅延損害金を支払う。

(第5条)
乙について、次の事由のうちひとつでも生じた場合は、甲からの通知、勧告がなくても、乙は、期限の利益を失い、ただちに元金および利息を支払う。

1.第2条または第3条の支払いを1回でも怠ったとき
2.他の債務について仮差押え、仮処分、強制執行を受けたとき
3.他の債務について民事再生手続き、破産の申し立てを受けたとき
4.振出、裏書または保証した手形、小切手が不渡りとなったとき
5.税金の滞納処分を受けたとき
6.甲に通知せず住所を移転したとき

(第6条)
丙は、乙の甲に対する債務を連帯して保証し、乙と連帯してこれを支払う。

 

平成28年5月1日

 

 

借用書があってもすぐには差し押さえできない?!

 

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借用書や金銭消費貸借契約書を作成していても、すぐに借主の財産を差し押さえることはできません。

 

口頭や内容証明によって督促を行った上で、それでも支払われない場合には、裁判をする必要があります。

 

 

公正証書なら裁判なしで差押え手続きに移行できる

 

法務大臣によって選出された公証人が、法律に則って作成する公文書を、公正証書と呼びます。

貸主と借主が、公証役場に出向き、金銭消費貸借契約公正証書を作成してもらうことができます。

 

金銭消費貸借契約公正証書の原本は、公証役場に保管されるため、紛失することがなく、改ざんされる心配もありません

また、公正証書に執行認諾約款をつけておくことで、契約通り返済されない場合に、裁判なしで差し押さえ手続に移ることができます

 

ただし、公正証書を作成するには、手間や費用がかかりますので、よく検討してから作成するようにしてください。